今回は水中スタートについて解説します。水の中にザブンと潜って壁を蹴って泳ぎ出すやつです。上手に壁を蹴ることができればただ壁を蹴るだけで前に進むことができます。そしてその後をよりスムーズにつなげていくことによって、自分で一生懸命泳泳いてスピードを乗せていかなくても、楽に泳いでいけるというメリットがあります。
ステップ1 沈む
目線を遠くにもっていって膝を落とすというイメージです。この時、足を少し後ろにもっていって膝を落とすようにすればいいと思います。ひさまづこうとする感じです。まず軽くジャンプをしたら体を前に倒れ来ませます。そして腕の力で自分の身体を壁の方に押し付け、しっかりと壁際でタメをつくってから蹴りだしていくというのがポイントになります。
より効率よく飛び出していくためには自分の頭の位置と足の位置が水平になるくらいまで頭を沈み込ませてから壁を蹴るということが重要です。自分で体をうまく沈められないからといって壁の上のほうに足を着き過ぎてしまうと、蹴った瞬間に沈んでいってしまうので、その場合はまず体を潜らせる練習をしっかりとやるようにしてください。
またせっかくジャンプしたにも関わらず床に着地をしてしまうと結局うまく体を沈ませることができませんので、でこれもなるべくしないようにしていきたいですね。最後に、お尻が壁にくっつくほど近くに立たないこと。これもしゃがむスペースができませんので上手にスタートすることができません。お尻と少し壁を離すようにしてください。
この時、沈む前に息を吸いますが吸う息の量は50%程度でいいです。目一杯吸ってしまって肺をパンパンに膨らませると体が浮いて沈みにくくなるからです。または少し息を吐きながら沈んでもいいです。そして腕の動きとしては水を下から上にすくい上げていく動きをまず覚えましょう。
これは手の平側でやっていただいてもいいですし、手の甲の方で押し上げていただいても、どちらでもやりやすい方で構いません。この腕の動きによって体を水平にしていき、次のステップ2に繋げていきます、そしてこれにより壁に体を押し付けてことができます。
ステップ2 姿勢を作る
姿勢というのはストリームラインです。正直、選手クラスになると絶対ストリームラインでやってます。しかし、このストリームラインというのは結構難しいです。両手を重ねてまっすぐ伸ばすというその姿勢がまず難しいです。
ですから、どうしてもストリームラインが組めないという方は無理せず両手まっすぐ前に伸ばして重ねなくもていいです。もちろん、手を重ねた方が抵抗の少ない体制になるので、できるだけ手は組んでいただいた方がいいんですけが、無理な方は両手を肩幅のラインでまっすぐ前に伸ばしだけも構いません。
ストリームラインは肩甲骨が柔らかくないとなかなか組めないです。無理して肩なんか痛めたりしたら元も子もありませんから気をつけて下さい。もっともいいストリームラインというのは、頭腕の下に入れるのですが、これも無理しなくてもいいです。
体が柔らかい方はそこまでやってもらえるといいと思います。頭が中に入っていることにより、最も水の抵抗が少なくなり、かつ
重心が前に移るよりよく進むからです。ですが、そこまで別に求めなくても大丈夫です。ただ、前を見るのではなく、目線を下に持っていくことだけは忘れないで下さい。
そしてこの姿勢で体を水平にして、足は壁の真ん中より少し下ぐらいの高さで壁につけます。そこで一旦静止します。もちろん実際にはそこで止まっているわけではなく、すぐに壁を蹴って進みだします。しかし、ここで一瞬でいいので静止する意識を持って下さい。
そうすることで、確実に良い姿勢で蹴り出すことができます。
ステップ3 キック
続いてキックです。壁を蹴った後にスピードを落とさずにより進むためですが、お勧めは断然ドルフィンキックです。バタ足でもいいですが推進力が全然違うからです。(平泳ぎの場合は別です。)これは何回ぐらいキックすればいいか、ということなのですが、大体4回ぐらいでしょうか。
4回ぐらいで浮いてきて、かき始めるという感じです。個人差がありますのでもっと小さく小刻みにやったほうがいいという方もいると思います。それはそれで構いませんのでやりやすい回数、タイミングを見つけて下さい。ただ、キックには体力も使いますので、まずはステップ1、2の沈んで姿勢を作って蹴り出すということに集中して下さい。
それがうまく出来ないうちは、キックは無しでいいです。正しい姿勢でキック無しで5mぐらい進むようになってからで十分だと思います。最初はこのステップ3は無視して頂いて構いません。ステップ1,2,4ができるようになったら、ステップ3を入れることに挑戦してみてください。
ステップ4 かきはじめ
いつ、どのタイミングでかき始めたらいいのか、ということです。これは水深20センチに手が届いたらかき始めてください。基本的に普段泳ぐときもそうなんですが、水をキャッチをするところ、かき始めるところというのは水面じゃなくてちょっと深めの方がいいです。
水面だとどうしても泡をかいて空振りになってしまうことがありますので、ちょっと深いところからかき始めてください。だいたいいい目安は20センチです。深すぎてもダメです。深すぎるとリカバリー(かき終わって腕を前にもってくる。)がうまくいきません。深すぎるとリカバリを水中でしなければいけなくなるということが起きてしまいます。
ただ、どうしてもかき始めに慣れてない時は20センチと言われても分かりませんよね。手元を見てないとわからないですから、最初は前を向いたまま手元を見ながらスタートをしてみてください。慣れてくると、進んでる感覚や浮いてくる感覚とか、水圧、自分の体にどれだけ圧がかかってるかでだんだん分かってくるようになります。慣れてきたら前を見ずにやってください。
まとめ
基本的にスイミングスクールでは水中からのスタート練習をほとんどを行っていないというところが大半だと思います。それは泳法指導に力を入れているためで、皆さんのニーズに合わせているというのが正確なところです。たまにスタート練習をしたとしてもその時にレッスンに出ていない人がいれば次のレッスンにつながらなくなってしまうので、泳法指導が主になってしまうわけです。
泳ぎの上手い人がなぜスタートが上手いというと、水泳はスタートで壁を蹴った直後が最も速い速度となるからです。(飛び込みができれば飛び込んだ時の方が速いです。)そしてそのスピードをできるだけ落としたくないと考えているからです。一度失速してしまうと加速するのに何倍ものエネルギーを使ってストロークしなければならなくなるのでそれを回避したいというわけです。
もし水中スタートで5mいければ、実質20m泳ぐだけで25m泳いだことになり、とても楽になります。その上タイムも短縮でき、とてもお得ます。私の娘もこれで25mのタイムを1秒以上縮めることができました。ステップ1~4と説明しましたが、まずはステップ1~2、沈んで体を水平にして、姿勢を作ってから蹴る、ということに集中して挑戦してみて下さい。
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