平泳ぎは最も楽で簡単だというイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。海水浴場やリゾートプールで顔を水につけることなくスイーッスイーッという、あのイメージです。もちろん海やプールで楽しむにはそれでいいのですが、水泳として厳密に言えば、あれは平泳ぎではありません。
あのイメージのままだと、何となく平泳ぎっぽく泳げるのですが、全然スピードが出ず進みません。ここでは、私の娘達が、なんちゃって平泳ぎからちゃんとした平泳ぎになるまでの、効果的だったアドバイスについてお話しします。
手足の連動
平泳ぎは他の3泳法と違い、手を水から出して回しません。そして、頭を上げるだけで息継ぎができるので、とりあえず簡単に泳げた気分になります。私の娘達もそうでしたが、すぐに「できたー!」と言って喜んでました。とりあえず、苦手意識がないのはいいです。
しかし、そのうちに気付くことになります。何故か、スピードが出ない。何故か、少しづつしか進まないのです。そこで、娘の泳ぎを見たところ、手をかくと同時に足を引きつけ、手を前に伸ばすと同時にキックしていました。
スイミングスクールのコーチにも、そう教わったそうです。子供たちが初めて平泳ぎをする場合、その方が覚えやすいのかもしれません。また、競泳選手の泳ぎを見ても、一見、そのように見えるかもしれません。
しかし実際には違うのです。手をかくことで推進力を得ますが、足を引きつけることは水の抵抗を生みます。ですから、それらを同時に行うことは推進力を抵抗でキャンセルすることになるのです。また、キックすることで推進力を得ますが、水中で手を前に伸ばすことは水の抵抗を生みます。
ですから、それらを同時に行うことも推進力を抵抗でキャンセルすることになるのです。つまり、手と足をこのタイミングで動かすことはとても非効率で、なかなか前に進まないことになるのです。ではどうするのか、手をかくときは、足は伸ばしています。
そして手を前に伸ばした直後に足を引きつけ、キックします。実際、選手の平泳ぎ映像をスローでみてみみると、手と足は同時にはなっていません。とは言っても、このように説明したところで、娘たちにとっては一度ついてしまった癖はなかなか頑固で、手をかく時にどうしても足を引きつけてしまいます。
そこで言った一言が「手と足ば別々に」でした。少々極端ですが、手をかいて前に伸ばす間は足は伸ばしたまま動かさない。その後、足を引きつけてキックする間は手は前に伸ばしたまま動かさない。つまり、手を動かしているときは足は動かさず、足を動かしているときは手は動かさない。
手と足は別々に動かすというわけです。そうすることで、最初はゆっくりとぎこちなかったのですが、だんだん慣れてくるとスムーズに連続して手足を動かすことができ、効率よく進むことができるようになってきました。
キック
平泳ぎのキックは他の3泳法と異なり、足の裏で水を後ろに押す形です。これをちゃんとしようとすると、思っている以上に結構難しいのです。特に、自己流で泳いでいる方に多いのが、いわゆるあおり足といわれるもので、足の甲で蹴ってしまうことです。
これは絶対にダメです。私の娘はスイミングスクールで教わっているため、あおり足にはなっていませんでした。しかし、足の裏で水を押す感覚が良く分からないようで、自ら、ちゃんと蹴れているか、見て欲しいと言ってきたのです。
自らちゃんとできているかチェックして欲しいと言ってくるなんて、すごい成長だと思い、とても嬉しかったです。そこで、見てみると、一応足の裏を使おうと意識しているのは分かりました。ですが、足の裏でもどちらかと言えば、足の真ん中より先の部分、つま先側の意識が強いようでした。
そして、ブワーっと外側に足を広げながら蹴っていました。特にスピードを求めないのであれば少々外側に広がっていても構いません。また、その方が膝に負担がかからないのでひざを痛めるリスクも減ります。しかし、娘の場合は今後スイミングスクールで昇級していけばタイムも設定されるようになります。
ですから、ある程度スピードも考慮すれば、今のままでは水を後ろに押すのではなく、横に押すようになってしまい効率が悪いのです。そこで、まっすぐ後ろに蹴るように言ったのですが、それだと足の裏で蹴ることができないというのです。
どうも、足の裏というと、特に足の真ん中より先のつま先側の部分を強く意識してしまうようでした。それならということで、「かかとで蹴ってみぃ。」と言ってみました。すると、きれいに足の裏でまっすぐ後ろに蹴ることができ、こんな感じかぁ、とコツを掴めたようでした。
息継ぎ
平泳ぎはクロールやバタフライに比べると最も楽に頭を上げることができて息継ぎがしやすいと思います。しかし、逆にそのために頭を上げるタイミングについてはあまり意識せずとも、できている気になっている方が多いのです。
実はこれが重要で、このタイミングが悪いと進みが悪くなってしまうのです。平泳ぎにおいてもバタフライと同様に、手をかき始めると同時に頭を上げる人が非常に多いです。
こうすると、体が立ってしまい、下半身が沈んでいきます。それでも、平泳ぎの場合はバタフライと違い、手を水面から上げることをしないので、息継ぎもでき、とりあえず泳げていると感じます。
しかし、これではなかなか進まないのです。実際には平泳ぎでもバタフライと同様に、手をかき終わる時に頭を上げます。そしてもう一点、手を前に伸ばす時、同時に頭をつける人も非常に多いです。
これでは体重移動が上手く行えず、なかなか前に進めません。実際には素早く手を前に伸ばし、その後、頭を水中に入れます。これにより、上下動の息継ぎが、斜め前に飛ぶような息継ぎに変わります。
もちろん、私の娘も上下に浮き沈みするだけの息継ぎでしたので、ひと言こう言いました。「手が先、頭はあと。」 これにより、息継ぎのタイミングを修正し、上下動の息継ぎを斜め前に進みながらの息継ぎに変えることができました。
まとめ
平泳ぎについては、他の3泳法より簡単にできたつもりになっていたようですが、それはなんちゃって平泳ぎでした。なんちゃってを卒業するためのワンポイントアドバイスは、1.手と足ば別々に 2.キックはかかとで 3.手が先、頭はあと でした。
これによって私の娘は、ちょっと水泳選手っぽい泳ぎをしている気になったようで、得意げな顔をしてました。他の3泳法と同様に、これでなんとか平泳ぎもそれらしくなってきました。
スイミングスクールでは次の段階ではさらにスピードが求められるでしょうが、当面はこれで機嫌よく泳いでもらえればいいかな、と思っています。
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